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ヨーロッパ・アメリカ文明特殊講義D/ヨーロッパ文明特殊講義D
第4回/中世ロマネスク建築への古代ローマ文明の影響
(※ページの画像がうまく読み込まれない場合は、再読み込みすると、ちゃんと表示されると思います)
※今回は前半・後半には別れていません。
※それぞれの画像に付いているマークは次の通りです。
○古代ローマ時代の建築物 ●中世ロマネスク時代の建築物 ◆ゴシック様式の建築物
①バジリカ様式の平面プラン
バジリカ(バシリカ、Basilica、Basilique)とは、古代ローマ時代において、裁判や集会、
商取引、商業施設などとして用いられた長方形の会堂・大広間のことです。
今ふうに言うと、いわば世俗の「多目的ホール」に当たります。基本的に「神殿」ではありません。
有名なのはローマにある「バジリカ・ウルピア」(トラヤヌス帝のフォーラム内)で、
112年頃に完成したものです。
ローマ帝国第13代皇帝トラヤヌスの「マルクス・ウルピウス・ネルウァ・トラヤヌス」
という名前から命名されました。このバジリカの建物の規模は117m×55mです。
4世紀になって、ローマ皇帝コンスタンティヌス1世が
このバジリカをキリスト教の教会堂建築のモデルとしたために、
その後、バジリカ建築とキリスト教会が結び付けられるようになりました。
現在は建物自体は残っていませんが、床と柱の列を遺跡として見ることができます(下の写真)。

○Basilica Ulpia, Roma(WEB)

○バジリカ・ウルピア平面図
ドイツのトリアー(Trier)にも、有名な「コンスタンティヌスのバジリカ」が残っています。
4世紀初め頃に、ローマ皇帝皇帝コンスタンティヌスによって建設されました。
幅26m×長さ67m×高さ33m。建物全体がきれいな状態で残っており、
現在はプロテスタント教会として使用されています。

○Basilica of Constantine/Aula Palatina, Trier(1996.8.10)

○トリアーのバジリカ内部(1996.8.10)
ちょうど、トリアーのこのバジリカが建設された少し後、4世紀後半から建てられたのが、
ローマにある「サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂」です。
トリアーのようなバジリカ建築の教会版みたいな建物です。
この聖堂は内部が東西に延びる長方形の主身廊と、
その南北両側に古代ローマのコリント式柱頭を持つ円柱が
アーケードとなって並んでいます。火災で被害を受け、19世紀に修復工事が行われました。
しかし中世のバジリカ様式の聖堂内部の面影を色濃く残しています。

●Basilica di San Paolo fuori le mura, Roma(WEBから)
下の写真は、フランス北部のマルヌ県のランスにある「サン=レミ・バジリカ聖堂」の内部です。
建設は11世紀から13世紀で身廊の天井や内陣などはゴシック様式ですが、
身廊の基本プランと半円アーチのアーケード、側壁などはロマネスク様式です。
名前の通り「バジリカ聖堂」です。
ただし、現在聖堂の名前が「バジリカ聖堂」とか「バジリカ教会」となっているものは、
建築様式もありますが、一種の「格式」を表していて、
普通の小さな教会よりは「格上」だということです。

●ランス、サン=レミ・バジリカ聖堂(2019.3.16)
②半円形平面プランの後陣(アプス)
ロマネスクの教会は、そのほとんどが東西方向に建てられています。
そして多くの場合は西側(「西ファサード」と言います」)に、入口(扉口)があります。
ただし南側の壁に出入口があるものも少なくありません。
聖堂の本体部分は「身廊」と言い、ここに信者たちの席が並びます。
そしてほとんどの場合、東側に「内陣」があります。
「内陣」とは、その聖堂の中で最も神聖な場所(聖域)で、通常は「祭壇」が置かれていて、
司祭はそこでミサなどの儀式を執り行います。
そしてその内陣を取り囲む建築部分を、別名で「後陣」と呼びます。
英語では「アプス/アプシス」(apse/apsis)、
フランス語では「アプシード」(apside)と言います。
「内陣」と「後陣」は、比較的小さな教会では、ほぼ同じ部分を指します。
しかし大きな聖堂になると「内陣」と「後陣」は別々のものとなります。
また大きめの「主後陣」と、その左右に小さめの「小後陣」が並ぶ場合もあります。
そしてこの「内陣」あるいは「後陣」は、多くの場合、半円形をしています。

上の図は最も単純な形の聖堂平面図です(Église Châteauneuf-Val-St-Donat)。
長方形の身廊の東端に半円形の内陣/後陣が付いています。
下はそうした単純な例のひとつです(南仏ガール県、ラ・トゥール礼拝堂)。

●Chapelle de la Tour, Gard(2014.3.9)
下の図は、聖堂の東端には「主後陣」とその左右に「小後陣」が並ぶパターンです(St-André-de-Sorede)。
なお、聖堂は十字架の形をしていて、
十字架の両腕にあたる部分を「トランセプト」と言います。
そして本体の部分と両腕が交差するところを「交差部」と言います。

(Église St-André-de-Sorede, Pyrénées-Orientales)
次の写真は、実際に後陣が3つ並ぶ様子です。

●Basilica romanica di Santa Giulia(Wikipedia) ●Église Saint-Jean-l'Evangeliste, Ouveillan(2006.3.7)

●Notre-Dame-de-la-Pépiole, Six-Fours-les-Plages(2016.3.9)
この「ノートル=ダム=ドゥ=ラ=ペピオル」(南仏ヴァール県、シ=フール=レ=プラージュ)は、
10世紀~11世紀初めの初期ロマネスク期に建てられた古いもので、
不整形の石が荒々しく積まれた3つのほぼ同じ大きさの半円形の後陣が横に並んでいます。
非常に味わい深いロマネスク教会です。
さて、こうしたロマネスク教会の、半円形の後陣の姿は、
古代ローマ建築からの影響のもとで作られたものです。
次の写真は2枚とも、古代ローマ時代の公共浴場の建物の外観です。
半円形の外壁(アプス)が美しいです。
左はドイツのトリアーに残る「カイザー・テルメン」で、建設は紀元4世紀です。
右は南仏アルルの「コンスタンティヌスの浴場」で、建設はやはり4世紀です。

○Imperial Baths of Trier(1996.8.9) ○Thermes de Constantin, Arles(2003.3.6)
下の写真は、南仏プロヴァンスにあるシトー修道会の建設した「セナンク修道院」です。
ロマネスク様式の聖堂です。
半円形の後陣(アプス)部分が、上の古代ローマの半円形の壁面(アプス)と、非常に似ていますね。
特にアルルの浴場のものと比べると、そっくりそのままと言ってもいいかも知れません。
シトー修道会はプロヴァンスにこのセナンク、シルヴァカーヌ、ル・トロネの3つの有名な修道院を建設しました。
いわゆる「プロヴァンスの三姉妹」と呼ばれるもので、観光客にも人気が高いものです。
ただし鉄道やバスではなかなか行きにくく、普通はレンタカーやタクシーでアクセスするしかありません。
つまり、ロマネスク特有の「へんぴなところ」にあるわけです。

●Abbaye Notre-Dame de Sénanque, Gordes, Vaucluse(2001.3.13)
③半円形アーチ
基本的に、ロマネスク教会で造られるアーチは「半円形」です。
上で、聖堂の平面プランにおいては東端に半円形の後陣(アプス)が付くと説明しましたが、
半円形を用いるのは「平面」だけではありません。
「立面」においても半円形を用います。
これが「アーチ」です。ロマネスクのアーチは半円形なのです。
これはやはり古代ローマの建築物の影響です。古代ローマ建築で使われるアーチはすべて半円形です。
ちなみに、ロマネスクの後のゴシック様式のアーチは「尖頭形」になります。
つまり「とんがっている」のです。

上の写真は、古代ローマのコロッセオ(左)と凱旋門(右)です。
両方ともアーチは半円形、つまり「丸い」ですね。
下の写真は、左側がロマネスクの修道院。先にも出てきたセナンク修道院です。
連続してアーケードをなすアーチは丸いです。
右側は、パリのノートルダム大聖堂(ゴシック)の後ろの、後陣側からの眺めです。
並んでいる窓はすべてとんがっています。

次の写真は、南仏のアルルにあるサン=トロフィーム教会の「回廊」です。
教会や修道院によく見られる「回廊」のことを「クロワトル」と言います。
普通は、四角い庭を囲むように、列柱(アーケード)が並ぶ四角い通路です。
聖職者や修道士たちが、瞑想にふけりながらそこを歩いて巡る、というイメージです。
アルル・サン=トロフィームのクロワトルは、北面と東面がロマネスク様式なので
アーケードには完璧な半円形のアーチが並びます。
しかし西面と南面は、ゴシック様式で建て直されたものなので、ゴシックの尖頭アーチが並びます。
ロマネスクの半円アーチとゴシックの尖頭アーチを同時に見ることができるのです。

●cloître de la Cathédrale Saint-Trophime, Arles(2019.2.4)
ロマネスクの教会建築で、半円アーチが見られるのは、
クロワトル(回廊)の列柱だけではありません。
教会の外壁や後陣部の壁にも半円アーチが付けられます。
こうした壁に付けられた壁付きアーチは、見る者に美しい装飾という印象を与えます。
下の写真は、南仏ロゼール県(ジェヴォーダン)のラ・バスティード=ピュイロランにある
サン=ローラン教会の後陣の様子です。
不整形な粗い石積みの小さくて素朴な教会ですが、後陣に並ぶ半円形の大きな壁アーチが、
非常に味わい深い印象を与えてくれます。

●Église Saint-Laurent, La Bastide-Puylaurent, Lozère(2013.8.13)
また次は、やはり南仏のエロー県にある
サン=ギレーム=ル=デゼール修道院付属教会です。
建設は11世紀で、典型的なロマネスク様式です。
半円形の大きな主後陣の左右に小さめの小後陣が並んでいます。
そして主後陣の上部には、半円形アーチがずらりと並びます。
このように壁面に並ぶ小アーチの連続的な装飾のことを「ロンバルディア帯」と言います。
北イタリアのロンバルディア地方から伝わってきた装飾様式です。
フランスのロマネスク聖堂にはたくさん見られます。
向かって左側の小後陣の上部にも小さな「ロンバルディア帯」が付けられているのが見えます。
また主後陣の壁に開けられた大きな窓も、頭部が半円形のロマネスク様式です。
そしてその壁には、これもまたロマネスクの特徴である大きくて分厚い「扶壁」が2つ、
がっちりと付けられています。

●Église abbatiale de Saint-Guilhem-le-Désert, Hérault(2005.3.17)
最後に、ロマネスク聖堂では、天井も半円形になります。
水平の平べったい天井ではなくて、カーヴを描いて曲がる天井のことを
「ヴォールト」と言います。
ロマネスク聖堂の天井は、「半円筒形トンネル・ボールト」となっています。
次の写真は南仏のブリサックにあるサン=ナゼール教会です。
天井は半円形ですね(赤い矢印)。
●Église Saint-Nazaire de Brissac, Hérault(2005.3.17)
また次の2枚の写真は、先ほど紹介したアルルのサン=トロフィーム教会の
回廊(クロワトル)です。
左はロマネスク様式で、天井は半円形のヴォールトです。それに対して
右は、同じ回廊のゴシック様式の部分で、天井は尖頭形ヴォールトです。
違いがはっきりと分かりますね。

●アルル、サン=トロフィーム教会の回廊。 ◆同、ゴシック様式部分の尖頭形ヴォールト
ロマネスク様式の半円筒形トンネル・ボールト
④古代凱旋門とロマネスク教会の西ファサード
古代ローマ時代の凱旋門がそのまま中世ロマネスク教会の西ファサードになったような例もあります。
「西ファサード」とは、多くのたいていのキリスト教会が、東西方向を向いていて、
その西正面の全体を指します。
南仏のガール県にあるサン=ジル教会(サン=ジル大修道院付属教会)は12世紀中頃の建設ですが、
その西ファサードは、あきらかに古代ローマ文明の凱旋門の影響を受けています。
下の写真を比べれば一目瞭然です。右がサン=ジル修道院教会です。
古代ローマの凱旋門(左)を、教会建築でそのまま再現したと言ってもいいかも知れません。
ただし、扉口の脇に並ぶ人物像の列が、ロマネスク的な新しい要素だと言われます。
古代の凱旋門には、人物像の列は見られません。

○古代ローマ時代のコンスタンティヌスの凱旋門 ●Église abbatiale de Saint-Gilles du Gard(2019.2.17)
(イタリア・ローマ)
サン=ジル教会のこのファサードは、
建物の上の部分が、17世紀に建物の高さを低くするために
取り壊されてしまったにもかかわらず、
南フランスのロマネスク建築の中でも、最も見事なものであると言われています。
付け柱や柱廊のある半円アーチの載った入口が3つ並んでいます。
⑤古代神殿のペディメント(三角形切妻)
よく古代ギリシア・ローマの神殿建築で目にするのが、柱の上に載る三角形の「ペディメント」です。
日本語にすると「切妻」といい、妻側屋根下部と水平材に囲まれた三角形の部分です。
日本建築の「破風(はふ)」に該当します。
下の2枚の写真は、左側がローマにある有名な古代の「パンテオン」、
右が南仏のガール県ニームにある古代神殿です。しっかりと三角形の「ペディメント」が載っています。

○ローマのパンテオン(1999.8.10) ○ニームの古代神殿「メゾン・カレ」(2019.2.20)
下のロマネスク聖堂は、南仏プロヴァンスのタラスコンにある
サン=ガブリエル礼拝堂です。12世紀に建設されました。
もともと南フランス・プロヴァンス地方は、古代ローマ文明からの影響が非常に強いところなので、
このように古代建築のペディメントが、中世キリスト教の礼拝堂の西ファサードに
ほとんどそのまま現れているのでしょう。
三角形のペディメントを左右で支える柱の柱頭は、下から上へと広がるアカンサスの葉飾り彫刻で、
これもまた古代ローマ建築で用いられる柱頭様式です。
さらに向かって左側の柱の縦溝文様も、古代風です。
しかしペディメントの中に置かれた彫刻は、キリスト教の「受胎告知」だし、
その下の半円形の短パンの中には「ライオンの穴の中のダニエル」で、
これは『旧約聖書』に出てくる物語です。
古代の強い影響とキリスト教のモチーフが融合したこのサン=ガブリエル礼拝堂は、
まるでオリーブの木に囲まれたプロヴァンスの風景の中に溶け込むようにたたずむ、
とても味わい深いロマネスク聖堂だと言えます。

●Chapelle Saint-Gabriel, Tarascon(2001.3.9) ●西ファサードの扉口のペディメントの拡大
ちなみに、このサン=ガブリエル礼拝堂は、2016年9月に
私が引率で行った「ヨーロッパ実地研修/フランス文明紀行・南仏プロヴァンスとパリを巡る旅」で
学生たちと訪れました。
その実地研修では、南仏プロヴァンスの有名どころと共に、
普通の観光旅行ではまず行かないような中世の教会巡りとかもしました。
このサン=ガブリエル礼拝堂もそのひとつでした。
電車やバスではまず行けないところです。
日本からの観光ツアーでも行かないところです。
貸し切りバスでアルルから行きました。
そのバスのフランス人運転手もよく知らないところでした。
しかしフランスの専門的な中世ロマネスク研究者では、知らない人はまずいません。
学生たちは「へぇー、なんか古い教会みたいだな~」という感じでしたが、
ちゃんとその価値を認識している人はどれくらいいたのでしょう(前もって説明はしたのですが)。
ここを訪れて貴重なロマネスクを見たんだということを、
ちゃんと憶えておいてくれるとうれしいのですが。
今回は以上です。
次回は、キリスト彫刻の誕生について説明します。
| ★今回は、出席調査を兼ねて、小コメントを提出していただきます★ 第2回~第4回の授業の内容について、自分がその中で一番印象に残ったことや、重要だと思ったことは何か、そしてそこに、できれば自分の意見や感想なども付け加えて、300字以上~400字くらいまでで書いてメールで提出(送信)して下さい。 ワードなどのファイルを添付するのではなく、メール本文に直接書いて下さい。 メールのタイトルには、必ず授業名、学生証番号、氏名を書いて下さい。 例えば次のようにして下さい。 (例)メールタイトル「特殊講義/5BPY1234/東海太郎」 提出(送信)締切りは、10月31日(土)の22時までとします。 メールアドレスは、nakagawa@tokai-u.jp です。 「@」の次は、「tokai-u」です。「u-tokai」ではないので注意して下さい。 |
次回は10月27日(火)の午前中(9~10時頃)に、
第5回目の授業内容をこのサイトにアップします。
http://languedoc.nn-provence.com/
にアクセスして下さい。
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【今回の授業の参考文献】
饗庭孝男『世界歴史の旅/フランス・ロマネスク』山川出版社、1999年。
饗庭孝男『ヨーロッパ古寺巡礼』新潮社、1995年。
馬杉宗夫『ロマネスクの美術』八坂書房、2001年。
越宏一『ヨーロッパ中世美術講義』岩波書店、2001年。
越宏一『ヨーロッパ中世美術史講義・中世彫刻の世界』岩波書店、2009年。
櫻井義夫・堀内広治『フランスのロマネスク教会』鹿島出版会、2001年。
柴田三千雄・樺山 紘一・福井 憲彦ほか編著『世界歴史大系/フランス史1・先史~15世紀』
辻本敬子・ダーリング益代『図説ロマネスクの教会堂』河出書房新社、2003年。
長塚安司責任編集『世界美術大全集 西洋編8・ロマネスク』小学館、1996年。
前川道郎『聖なる空間をめぐる フランス中世の聖堂』学芸出版社、1998年。
柳宗玄『柳宗玄著作選4・ロマネスク美術』八坂書房、2009年。
アンリ・フォション『西欧の芸術1・ロマネスク』上下巻、神沢栄三ほか訳、鹿島出版会、1976年。
エミール・マール『ヨーロッパのキリスト教美術』上下巻、柳宗玄・荒木成子訳、1995年。
エミール・マール『ロマネスクの図像学』上下巻、田中仁人ほか訳、国書刊行会、1996年。
BENOIT, Fernand, L'Art roman en France, Provence, Flammarion, 1961.
Éditions du Rocher, 2006.
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DROSTE, Thorsten, La France romane, Les Éditions Arthaud, 1990.
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Giles de la Mare Publishers, 2010.
THIBAUD, Robert-Jacques, Dictionnaire de l'art roman, Éditions Dervy, 2007.
TOMAN, Rolf, L'art roman, architecture, sculpture, peinture,
h.f.ullmann publishing GmbH, 2017.
VERGNOLLE, Eliane, L'art roman en France, Flammarion, 2005.
VERGNOLLE, Eliane, L'Art monumental de la France romane, Le XIe siècle,
The Pindar Press, 2000.
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