オンライン授業/西ヨーロッパ地域研究A「ラングドック・ルシヨンの歴史と文化」

第1回目 ガイダンス(前半)
                      
(※ページの画像がうまく読み込まれない場合は、再読み込みすると、ちゃんと表示されると思います)
 

この授業は、文化社会学部ヨーロッパ・アメリカ学科の中川が担当する
「西ヨーロッパ地域研究A」です。
テーマは、「南フランスのラングドック・ルシヨン地方の歴史と文化」です。

時間割の上では、火曜日の3限に設定されています。
週1回の授業です。

授業はオンライン(インターネット)を利用して行います。
毎回、火曜日の3限の少し前くらいの時間(11~12時頃)に、
「授業内容」を次のアドレスにアップしますので、必ずアクセスして下さい。

http://languedoc.nn-provence.com/



毎回、だいたい前半と後半に分けて、2つのページをアップする予定です。
学生の皆さんには、それ(前半と後半の両方とも)を読んでいただくという形で進めます。
同時配信のテレビ会議みたいな形では行いません。
大学のキャンパスライフエンジンの「授業支援システム」も使用しません。
あくまでもこのサイトだけを使用します。
(パソコンの方が文字や画像が大きくきれいに見えるので理想的ですが、
もちろんスマホしかない人は、スマホでも大丈夫です。)

アップした授業内容は、およ1~2週間で削除します。

授業の内容についての質問等は、いつでもメールで受け付けます。
質問メールには、1~2日の間に必ずメールで返信するようにします。
もしも質問メールを送ったのに、私からの回答がない場合は、
何らかの理由で質問メールが私に届いていないものと考えられますので、再度送信し直して下さい。


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出席とレポートについてです。
2~3回に1回程度(つまり2~3週間に1回程度)、
200字~400字程度で簡単な小コメントを書いていただきます

内容は、その2~3回の授業で印象に残ったところとか、
自分にとって興味深かったのはどんなところだったか、といったことを簡単に書いてもらうものです。
提出はメールで、あるいはメールに添付で送ってもらいます。
全部で4~5回の提出になります。それで出席を計算します。
また一番最後に2000字~3000字の最終レポートを、やはりメールで提出してもらいます


私のメールアドレスは以下の通りです。
nakagawa@tokai-u.jp

何か質問などありましたら、メールを送って下さい。
なお、メールを送る際には、必ずメール本文に
学生証番号と名前を期して下さい。
時々、名前もなにも記さないで、いきなり用件だけのメールを送ってくる学生がいますが、
それだとそのメールを送ったのがどこの誰だか、私にはまったく分かりません。
また、メールのタイトルには
「西ヨーロッパ地域研究Aについての質問」などという文言を入れて下さい。
いろんな授業を取っている学生から数十人単位で質問や小ペーパーが送られてくるので、
メールに、タイトルや氏名がないと何が何だか分からなくなってしまいます。
すみませんが、ご協力お願いいたします。

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今日はその第1回目で、以下、授業のガイダンスです。


まず、この授業のテーマである「南仏のラングドック・ルシヨン地方」と言っても、
多くの皆さんには分からないかも知れません。
フランスの南部のひとつの地方です。

なので、この授業の内容は、パリなどと言った有名な場所ではなくて、
フランスのすごくローカルな地方の歴史と文化を扱うことになります。
これを逆に言ってみれば、「フランスの学生が、地球の反対側の日本という小さな国の、
しかもこれまたチョー・ローカルな静岡県の歴史と文化の話を聞く」みたいな感じでしょうか(笑)。
そういうわけで、ものすごくローカルでミクロな話になるということは、
ある程度は覚悟しておいて下さい。

それから、私の最近の個人的な研究テーマが南フランスの中世ロマネスク教会なので、
授業では全体的に、
この地域の12世紀の中世ロマネスク教会や修道院、彫刻などの話の比率が高くなります
このことも承知しておいて下さい。


ここでフランスの地図を示しておきます。



この図の中の緑色(グリーン)で示した地域がラングドック・ルシヨン地方になります。
地中海に面していて、スペイン国境にも近い場所ですね。

このグリーンの部分は、「ラングドック」だけでもいいのですが、
特にラングドックの南半分、つまりスペインに近いピレネー地域を
「ルシヨン」地方と言います。
なので、単に「ラングドック」とだけ言うのではなく、
「ラングドック・ルシヨン」地方と言うことも多いのです。
「ラングドック」というのはフランス語で《 Languedoc 》と書きますが、
これは《 oc 》の《 langue 》つまり「オック語」という意味です。

古くから近世にいたるまで、南フランス(地図で黄色から青色までで示した地域)は、
標準フランス語ではなく、「オック語」という地方方言を話していました。
なので南フランスは「オック語の国」と言われたりしてきました。
これが北フランスで話されている標準フランス語に、無理矢理に統一されるのは、
1789年のフランス革命以後の話になります。

パリの革命政府は、ヨーロッパの中でも強力なフランス国家を作り上げるために、
地方言語を廃止し、標準フランス語による言語的統一を目指したのでした。
青森弁や鹿児島弁をすべて廃止して、東京の標準語で日本全体を
無理矢理に統一した、みたいな感じですね。

ちなみに、「ラングドック・ルシヨン」は、2016年にすぐ隣の
「ミディ・ピレネー」地方と統合されて、
あらたに「オクシタニー地域圏」(région d'Occitanie)を構成するようになりました。

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次にこの「ラングドック・ルシヨン」地方を構成する5つの県の地図を示します。




この地図に示された番号は、フランスの「県番号」になります。
日本では県ごとに番号を割り振るということはないですが(郵便番号がそれに近い)、
フランスではこの県番号をよく使います。
「あなたはどこの県から来たの?」
「48から来ました」
みたいな感じです。
ちなみにパリ(Paris)は「75」です。


ラングドック・ルシヨン地方は、5つの県から成り立っています。
地図の上(北)から順に、次のようになります。

48 ロゼール県(Lozère)
30 ガール県(Gard)
34 エロー県(Hérault)
11 オード県(Aude)
66 東ピレネー県(ピレネー・ゾリアンタール県/Pyrénées-Orientales)


ロゼール県(48)は、
ラングドック地方の最も北にあり、北はオーヴェルニュ地方と接しています。
フランスの中央山地の南側に位置し、人口密度の最も少ない県のひとつです。
なだらかな高原地形が続くところです。
日本ではラム肉(子羊の肉)が有名で、
時々日本のフレンチ・レストランでもメニューの中に見かけます。


ガール県(30)は、
ローヌ川下流の西側にあたる地域です。
世界遺産でも有名な、古代ローマ時代に造られた
「ガールの水道橋」(ポン・デュ・ガール)があります。
あとは「デニム」という生地の名前のもととなった「ニーム」という街があります。
古代ローマ時代に起源を持つ大きな都市です。
ローマ時代の神殿や円形闘技場が残っています。


ローマ時代の水道橋ポン・デュ・ガール


エロー県(34)は、
近年、県庁所在地でもあるモンペリエ(Montpellier)を中心に、
政治的・経済的にも発展の著しい県です。
モンペリエの大学は中世時代からの古い歴史を持っていて(特に医学部は歴史がある)、
今日でも大学都市としての性格を保っています。
このモンペリエ大学のフランス語教育は充実していて、
東海大学からもモンペリエ大学に留学する学生が少なくありません。

モンペリエのコメディ広場


オード県(11)は、
フランス西部と地中海をつなぐ交通の要所にあたります。
また歴史的には、もっとも古くから古代ローマ文明の恩恵に浴した地域でもあります。
オード県で最も有名なのは、なんと言っても世界遺産にも指定されている
カルカッソンヌ(Carcassonne)ですね。
中世そのままの城郭都市が今日でも世界中からの観光客を引きつけています。


中世の城塞都市カルカッソンヌ

東ピレネー県(66/ピレネー・ゾリアンタール県/Pyrénées-Orientales)は、
フランスとスペインの国境をなしているピレネー山脈の東部(地中海側)を占めます。
歴史的には常にフランスとスペインの領有争いに巻き込まれてきました。
ある時はスペイン領、またある時はフランス領、といった具合です。
しかし中世には、味わい深いロマネスク様式のキリスト教聖堂が
数多く建てられた地域でもあります。

今はフランス側に残るスペインのサルス要塞


 次に、(第1回/後半)では、この授業の各回の内容について、説明します。
  
→ 第1回授業 その2(後半)へ



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